ロードバイクにはさまざまなパーツが
付いており、それらはボルトで固定
されています。
(日東精工HPより転載)
ボルトがしっかり固定される理由は、
締めこむ事でネジ部分が伸びていき、
締めこむ事をやめた時点でネジ部分が
もとの長さに戻ろうとする力(引張力)
で素材同士を圧縮する力が働くから
です。
ボルトをエキスパンダーに見立てて
考えると分かりやすいでしょう。
上の写真の右手がボルトのヘッド、
バネ部分がネジ山です。
バネを左手側に引っ張れば引っ張る
ほど伸びていき、伸ばすのをやめた
瞬間に右手側に戻ろうとする強い力が
発生します。その力で素材を圧縮して
固定するのです。
ボルトのヘッドが素材にめり込んでフレームやパーツが壊れる
ボルトが外れないようについキツく
締めがちですが、それではボルトの
破損や、最悪パーツやフレームの破損に
つながるおそれがあります。
ボルトはネジ穴にねじ込んで固定します。
ネジ穴の先がふさがっていればそれ以上は
締めこむ事ができませんが、ロードバイク
の場合、ネジ穴の先はふさがっておらず、
ずっと締めこむ事ができてしまいます。
そうなると、ボルトのヘッドより柔らかい
素材の部分は圧力に負けてしまい、ボルト
のヘッドが素材にめり込んでしまいます。
柔らかい杉板に木ねじをインパクトドライバ
で締めこむとネジ頭があっという間に板に
めり込むのと同じです。ロードバイクの場合
ここまでめり込む事はなく、ひびが入ったり
割れたりします。
ボルト(ネジ山)がねじ切れる
ボルトがこれ以上動かないのに更に
締めこむと、ネジ山が伸び切り、
ボルトヘッド下の部分がねじ切れて
しまいます。こうなるとねじ切れた
下の部分の回収がかなり面倒です。
また、ネジ山自体が変形してボルトが
外れなくなる、もしくは締めこむ事が
できなくなるといったトラブルに
繋がります。
そもそも締めすぎると逆に固定力は弱くなる
そもそもボルトは強く締めすぎると逆に
固定力が弱くなります。
理由は締め付けによりボルトのネジ部分が
必要以上に伸びてしまうからです。
ボルトの固定力はネジ山とボルトヘッド間
に一定の幅があれば働くのですが、必要以上
締めこんでボルトが伸び切ってしまい、固定
力が働くなってしまいます。
締め付ける力、トルク管理が必要不可欠
そのため、ロードバイクの取扱説明書には
組み立て時のボルトを締めこむ力を数値化
して掲載しています。
「N.m」で示された数値がそれを表して
おり、それ以上の力で締めこむ事がない
ように明記しています。
指定トルクで締めこむにはトルクレンチが
必要です。
指定トルクに達すると「カチッ」と音が
してそれ以上締めこめない様になって
います。
BIKE HAND(バイクハンド) コンパクトトルクレンチ
SK11 デジタルトルクレンチ
様々な種類があり、上のようなハンドル
を回して指定トルクを設定するアナログ
タイプや押しボタンでトルクを設定できる
デジタル式のトルクレンチもあります。
厳密なトルク管理にはデジタル式が最適
ですが、アナログ式に比べ高価なのが
難点です。
おわりに
「孔子」
過ぎたるはなお及ばざるが如し、という
ように、やり過ぎはやり足りない事と同じ
でいい結果は出ないという事です。しかも
カーボン製のフレームやパーツはいったん
キズが入ってしまうとその部分が弱くなり
危険です。修理代も金属製のロードバイク
より高くつきます。
しっかりしたトルク管理で愛車を長持ち
させましょう!