ウクライナ・ロシア戦争は当事者だけでなく
ロシアに属する団体にも影響を与えています。
世界の自転車競技全体を所管する国際自転車
競技連合(UCI)もロシアやベラルーシに対する
対応を公式HPで発表しています。
UCIは、ウクライナの状況について再び非常に大きな懸念を表明し、ロシアおよびベラルーシ政府がオリンピック休戦(休戦期間はオリンピック開幕の7日前からパラリンピック閉幕の7日後まで)を破り侵略行為に出た事を断固として非難するものである。UCIは、できるだけ早く平和に戻ることを願い、オリンピックの価値を尊重するよう求める。
古代ギリシアの「聖なる休戦」と呼ばれる
休戦期間にあやかったオリンピック休戦を
破ったロシアと協力するベラルーシを
名指しで非難しています(ちなみに過去3回
オリンピック休戦期間中に戦争行為が行われた
事があるありますが、当事者は全てロシア)。
UCIが今回発表した内容は以下の通り
- ウクライナの自転車競技界に対する支援
- ロシア、ベラルーシへの対抗措置
UCIはウクライナの自転車競技界に支援を
行うことを決定し、スイスのエーグルにある
UCIワールドサイクリングセンターの
教育訓練センターにウクライナ人選手を
迎えることを決定しています。この点に関して、
UCIはウクライナの関係者と連絡を取り合い、
近日中に双方の代表者に会い、ウクライナの
自転車競技界を支援するための手続きを
定める予定です。ロシアおよびベラルーシに
対しては、ナショナルチームがUCIのレース
カレンダーに記載される全てのレースへの
参加を禁止、ロシア、ベラルーシ国内での
大会開催を禁止する事としました。
また、ロシアまたはベラルーシ国籍の
すべてのチームからUCIチームの資格が
はく奪され、再申請も一切考慮しない、との
厳しい措置が取られます。
UCIの行う全ての競技から両国の国旗や国歌、
ロゴ、略称などロシアやベラルーシを想起
させる全ての物を撤去、両国のクラブチーム
地域チーム、混合チームを招待することを
禁止、ロシア人、ベラルーシ人を自転車
競技に関わる役職へ任命する事を禁止する
など、両国の存在を自転車競技から完全に
締め出す内容です。
ロシア、ベラルーシ人の選手に対しては柔軟な対応を行う予定
ただし、ロシア、ベラルーシ以外のチームに
所属するロシア人及びベラルーシ人の選手は
競技への参加はOKとの事。また個人登録が
許可されればUCIの大会にも参加することが
できるが、その際は前述のとおり、両国を
想起されるロゴなどは使用できず、中立的な
名称やロゴを使用するよう求められている。
また移籍登録についても柔軟に対応する
ように特例を設ける予定との事です。
ロシアやベラルーシの選手が不当な扱いを
受けないよう、UCIは対策を講じており、
ロシア、ベラルーシ以外に国籍を有している
選手が登録国籍の変更を行いたい場合は、
特例で変更を許可する事も可能になるよう
です。
コンポーネントメーカーもロシア、ベラルーシチームから離脱
— LOOK Cycle (@lookcycle) March 1, 2022
ロードバイクのペダルメーカーのLOOKが
ロシアのチームへの機材提供をやめる、との
ツイートをしています。LOOKとチームは
今年からパートナーとなり、UAEツアーの
第6ステージで優勝するなど、結果を出して
いました。
おわりに
UCIの今回の措置はオリンピック休戦を
破られてキレたIOCの要請によるもの
です。選手やチームは今回の戦争に何の
関係もない、いわばとばっちりを受けた
感じでしょう。ただ、ロシアの選手や
チームが目の敵にされて何かしらの被害を
受けるのを防ぐ措置ともいえます。
一刻も早く、戦争が終わっていつもの
日常が戻る事を願います。