投資ファンドの取締役が自転車メーカー買収
のための違法な資金集めを行なった疑いで
逮捕・起訴される、とのニュースが海外の
情報サイト「BRAIN」で報道されています。
デ・ローザ、デ・マルキ、リマーの買収をエサに資金を集める
コロラド州デンバーの投資ファンド
「アウトドア・キャピタル・パートナーズ」の
取締役であるサミュエル・マンシーニ氏は、
フレームメーカーの「デ・ローザ」
アパレルメーカー「デ・マルキ」、
ヘルメットメーカー「リマール」を買収、
直販サイトを立ち上げ運営する、と宣伝。
約40人の投資家から1,100万ドル以上を
集めました。しかし、実際にはそれらの
メーカーの買収は行われず、投資家には嘘
(出資してもらった資金を運用し、その利益を
出資者に配当金として還元する)をつき、
実際には資金運用を行わず、後から参加する
出資者から新たに集めた資金を、以前からの
出資者に“配当金”などと偽って渡すことで、
あたかも資金運用によって利益が生まれ、
その利益を出資者に配当しているかのように
装う、いわゆる「ねずみ講」を行なったとして
ニュージャージー州の連邦検事局も刑事告発を
行いました。罪状は連邦証券詐欺、電信詐欺、
マネーロンダリング容疑です。
買収計画の変更から歯車が狂い始める
マンシーニ氏によると、「デ・マルキ社との
買収計画は合意手前だったが、デ・マルキ側
から条件の変更の申し込みがあり、計画に
齟齬が生じた」と主張、デ・マルキ側はそれを
否定しており、両者の意見は対立しています。
投資家を募る為、身分詐称などを行う
マンシーニ氏は投資家に対し、陸軍士官学校で
経済学を学んでいた、と自身の出自を偽って
伝えており、一部の投資家はその経歴を信用
して投資したと話しています。また、自身の
資金も投資したと偽り、買収が順調に進んで
いると見せかけています。
投資詐欺に自転車メーカーが利用される理由
コロナウイルスによるロックダウンが影響
しているのは間違いないでしょう。
世界的に3密回避で自転車の需要が急増し、
フレームやパーツは品薄状態が続いています。
シマノも2021年売り上げを上方修正しており、
「自転車業界はコロナ禍で儲かっている、
ワクチンなどが行き渡り、感染者数が下がる
まではこの状態を維持するだろう」と、判断
した可能性はあります。そこでイタリアの
有名ブランドであるデ・ローザやデ・マルキ、
リマールの買収話は「一儲けできる」うまい話に
見えたに違いありません。
今回の投資詐欺は、コロナ禍が生み出した
犯罪と言っても過言ではないでしょう。