ジロ、ブエルタの両グランツールを
制したコロンビアライダーの
ナイロ・キンタナが、UCIに提出した
2つの血液サンプルからUCIが禁止している
鎮痛剤(トラマドール)の成分が検出され、
ツールでの総合6位の成績を剥奪される事に
なりました。
検出されたトラマドールとは?
一般的には「トラマール」という名前で流通
しています。オピオイド系(麻薬性鎮痛剤)
の中で、麻薬作用の少ない非オピオイド系
(鎮痛剤)に分類されており癌による
疼痛緩和に用いられています。
強力な鎮痛剤として有名なモルヒネに比べ
副作用や依存性は少ないとされていますが
抑うつ、昏睡、頻脈、心血管崩壊、発作、
特に呼吸機能が低下した状態では
呼吸停止といった副作用があります。
トラマドールは世界アンチドーピング
機構(WADA)では禁止薬物に該当して
いませんがUCIでは副作用が選手にとって
命の危険を及ぼすとして2019年から
禁止薬物となっていました。
ツール期間中に提出されたサンプルから検出
2022年ツール・ド・フランス期間中の7月8日と13日に同選手が提供した2つの乾燥血液サンプルの分析により、トラマドールおよびその2つの主要代謝物の存在が明らかとなった。UCI医療規則に従い、同選手を2022年ツール・ド・フランスから失格とする。キンタナは、今後10日以内にスポーツ仲裁裁判所(CAS)でこの決定を不服申し立てすることができる。
(プレスリリースより)
UCIはキンタナに常習性がなく、彼に
とって初めての検出だった事から
ツールでの成績剥奪にとどめ、
レースへの出場停止処分は科さない
決定を下しています。
キンタナ、自らブエルタ出場を辞退し、法廷で潔白を訴える構え。
UCIの裁定に対してキンタナは疑惑を
完全否定。出場予定だったブエルタ・
ア・エスパーニャを辞退して徹底抗戦の
構えです。彼は弁護士を雇い、法廷で
自分の潔白を証明する事に専念する事
となりました。