ベアリングメーカーのセラミックスピードが
汗や雨の侵入にも負けないベアリングを開発
した、とのニュースが海外のサイクリング
情報誌でありましたので紹介します。
SLTを利用したベアリングを開発したセラミックスピード
Solid Lubrication Technologyの略で
SLTというのは日本語にすると
「固体潤滑技術」といったところで
しょうか。
(NTN HPより転載)
通常のベアリングは内輪と外輪、ボールの
3層で構成され、内輪と外輪のあいだに
ボールがたくさんあります。
ボールが転がる内輪と外輪を「軌道輪」と
いい、ボールの事を「転動体」といいます。
転動体には球状の「ボール」と、
円柱状の「ころ」の2種類があるます。
「ボール」は高速回転する部分に、
「ころ」は大きな力がかかる部分に使用
します。転動体が軌道輪から外れたり、
ボール同士がぶつかったりするのを
防ぐ部品を「保持器(ほじき)」といいます。
ベアリングの転動体と軌道輪の表面は、
非常に小さい凹凸があり、ベアリングが
回転すると転動体と軌道輪との凸部が
接触して表面に摩擦・摩耗が発生します。
それが抵抗になり、ベアリングの滑らかな
回転を妨げてしまうので、ベアリング内部
には潤滑を目的としたグリスが封入されて
います。グリスは潤滑の他に様々な役割を
果たします。以下参照。
- ベアリング各部品の摩擦および摩耗を減らす
- ベアリング内部の摩擦によって生じる熱をもち去り、温度を下げる
- 転がり接触面に常に適正な油膜を形成し、ベアリングの疲れ寿命を延長する
- ベアリングが使用中にさびることを防ぐ
- ベアリング内部へ侵入する異物を排除する
ベアリングを使用していくうちにグリスが
汗や水、埃などで抜けて行ってしまうと、
潤滑の意味をなさなくなり、部品の摩耗や
サビを引き起こします。下の画像はボールと
軌道輪が接触して起動輪が削れてしまった
画像です。(虫食いと言います)
(セラミックスピードHPより)
こうなるとベアリングはスムーズに
動かないので、使用している部分の
動きが悪くなり、最悪パーツが破壊
される恐れがあります。特に汗や雨
などの水にさらされやすいヘッドパーツ
部分のベアリングに起きやすいです。
(ワイズロードさんのHPより転載)
こうなると、ベアリングを外すのは
かなり困難になるとの事。
セラミックスピードは保持機を微細な穴が
配置されたポリマー体としてボール自体を
包み、微細な穴を通じて均等に固形オイルを
行きわたらせるテクノロジーを開発しました。
それがSLTです。
永久保証はセラミックスピードの自信の表れ
セラミックスピードはSLTと通常のベアリングを
比較した実験を行っています。
通常のベアリングは60万回の振動テストにより
起動輪に深刻な虫食いが発生しました。
SLTは180万回テストしても変化はなく、
「ベアリングを破壊する為に最善の努力を
してきたが、最終的には失敗した」
「私たちは自信を持ってSLTを永久保証と
します」
と言わしめています。
おわりに
昨今のロードバイクはケーブルが内装されて
いるものが多く、それらはハンドルからヘッド
パーツ部分を通るので、外装の頃と比べると
簡単にヘッドパーツを外しにくくなりました。
セラミックスピードの新しいベアリングで
あるSLTはそれらを解消する救世主になるかも
しれません。