今年で100周年を迎える世界選手権
自転車競技大会ロードレース。
優勝者には五大陸を表す五色の
ストライプをあしらったジャージ
「マイヨ・アルカンシエル」が
贈られます。
ツール・ド・フランスやオリンピック
とは一線を画するこの大会について
解説していきます。
第一回大会は1921年デンマーク コペンハーゲンで開催
1921年に第一回の大会がデンマークの
コペンハーゲンで開催されました。
この時はアマチュア選手のみ参加が
許されており、プロ選手の参加が
許されたのは1927年 ドイツの
ニュルブルクリンクサーキットで
行われた第七回大会からです。
その後はヨーロッパ各国が持ち回りで
開催。1939年から1945年は第二次世界
大戦のため中止されましたが、終戦翌年
の1946年から再開。
1974年には初のヨーロッパ外で開催
(カナダ・モントリオール)され、
1990年には初のアジア圏での開催都市に
栃木県宇都宮市が選ばれました。
国の威信をかけ、しのぎを削る選手たち
世界選手権は国別対抗戦であり、
選ばれたナショナルチームが国の
威信をかけしのぎを削ります。
そのため、普段は別のチームで戦う
エース級の選手たちがチームメイトと
なる事が多く、自転車文化が根強い
ヨーロッパ勢が強い傾向があります。
最多勝利国はベルギーの26回、次いで
イタリアの19回。ヨーロッパ圏外では
アメリカの3回、オーストラリアの1回
となっています。これは世界選手権に
参加できる人数が国別ランキングによって
変わる事も影響しています。
UCIが開催するレースは入賞する事で
ポイントが個人や国に授与されます。
その累計ポイントが多い国に出場選手枠が
多く振り分けられます(最大8名)
ロードレースは人数が多いほど有利になる
ので、強い選手が多い国が優勝する確率が
高くなるのです。
優勝者に与えられる名誉「マイヨ・アルカンシエル」
日本人女性初のアルカンシエルを獲得
した梶原悠未選手(Wikipediaより転載)
ロードレースに限らず、世界選手権に
優勝した選手は“世界を制した者”として、
次大会前日まで優勝した種目でレースや
競技会に出場する場合
「マイヨ・アルカンシエル(虹)」と
呼ばれる五大陸を表す五色のストライプの
入ったジャージを着用し競技すること、
https://twitter.com/alafpolak1/status/1385522000014286851
自分の自転車などの機材にもストライプを
入れる事が許されます。
Only one rider crosses the line first but it's an entire team that works hard to make it happen! Thanks, everybody, this is a beautiful team victory. @BORAGmbH @Hansgrohe_PR @iamspecialized @sportful @ride100percent https://t.co/fevovJYxIA
— Peter Sagan (@petosagan) May 17, 2021
また、次の大会で優勝を逃しジャージを
失っても、使用する自転車にストライプの
ステッカーを貼る事や、ジャージやパンツの
一部にストライプを入れること、あるいは
ストライプ模様のアームバンドを着用する
ことが生涯許されます。
これはツール・ド・フランスにおける
マイヨジョーヌやオリンピックの金メダル
にもない特権として、優勝者を称える証と
して残ります。また、海外ではスポーツ施設
やレースに名前が残るなど様々な形で世界を
制した選手を称えています。
日本人のマイヨ・アルカンシエル
保持で有名なのが競輪の中野浩一選手。
スプリント世界選手権10連覇は未だ
破られていない唯一無二の記録です。
競輪でも活躍し、現在は自分の名前を
冠した「中野カップレース」が行われて
います。
アルカンシエルの呪い
世界選手権(特に男子エリートロード)で
優勝した選手が、レース中の落車事故や
メカトラブルで翌年には大きく成績を
落としたり、私生活でも不幸が続く選手が
多くいた事から、「アルカンシエルには
呪いがかかっている」と言われる事が
あります。
(有名なのが2009年にアルカンシエルを
獲得したカデル・エヴァンス。2010年の
ジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス
で総合首位に立つもケガ等で脱落、
世界選手権でもゴールスプリントに加われず
17位)。しかしただ単に平均への回帰の結果
だとの研究結果もある。(カデル・エヴァンス
も2011年にツール・ド・フランスを制して
いる)
おわりに
今年の世界選手権は9月にベルギーで
開催されます。100周年記念との事で
歴代の世界チャンピオンが招待される
との事で、今から楽しみであります。