ロンドンで開催された世界最大の兵器見本市で
QuietKat社とJeep社が共同開発したものを
含む、高出力の電動バイクが多数展示された
との事です。
「Defense and Security Equipment International (DSEI)」
ベースとなったのはアメリカ コロラド州に
あるQuietKat社製のJeep E-Bikeです。
スペックは以下の通り。
- バイク重量 約32kg
- モーター出力 750Wか1000Wを選択(1000Wの場合最大出力1500W)
- バッテリー パナソニック製14.5AH/48V LongRangeバッテリー
- 航続距離 約100km
- スロットルレバーは取り外し可能
- SRAM 9段変速
- テクトロ製油圧ディスクブレーキ
- ロックショックス製サスペンション
- 26インチファットタイヤ(29インチタイヤへの換装キット制作中)
- 重量積載 136kgまで
(HPより転載。ハンティング用の
ライフルをハンドルバーに固定
しています)
軍用バージョンはこのベース車両に
ハンドルバーに取り付けるライフル
ホルダー、任務中にバッテリーを
充電するためのポータブルソーラー
パネルを備えています。
すでに興味を示している軍も
E-BIKEに興味を持っている国がUAEと
デンマークです。
UAEの国土のほとんどは砂漠と山岳であり、
南西部には世界最大級の砂漠である
ルブアルハリ砂漠、東部には標高2500mに
及ぶハジャル山脈が国を縦断するように
横たわっています。有事に普通に道路を
進軍しては恰好の的になってしまいますが
E-BIKEなら車やオートバイでは進入不可能な
場所を走破できる事、このような地形では
燃料補給もままならないため、バッテリーで
動くE-BIKEの機動力を生かせます。
また車両は移動時に砂ぼこりが舞い、位置が
バレやすく、空から簡単に判別されてしまい
ますが自転車ならその心配もありません。
デンマークの空挺部隊は折りたたみ式の
自転車を要請しているとの事で、
単独、もしくは少人数での潜入任務を
行う特殊部隊にとって、E-BIKEは格好の
移動手段とも言えます。
バッテリーの持続時間や重量などの技術革新による変化
QuietKat社のダンカン・ホーナー氏は
「E-BIKEは完全なオフロード走行が
可能で重い荷物を運べて、エンジン音も
しません。軍事用途のニーズを満たして
います」「大きな車は使えないが、
機械の助けが必要な最後の数キロを
移動する必要がある場合に最適です」
「バッテリー技術の飛躍的な向上が、
世界中の軍隊がE-BIKEを実用的な
戦闘車両と見なし始めている理由だと
考えられます」と述べています。
既存の兵員輸送車にE-BIKEを搭載できる
ラッチなどを取り付けて搭載、基地から
出発し、山岳地帯手前で乗り換える等の
作戦がとれそうです。
日本でも2022年1月26日~28日まで開催
ちなみにこのDSEIですが、日本でも
開催されています。
幕張メッセで2022年1月26日から
28日まで開催予定との事。
来場できるのは公官庁の方及び
防衛・セキュリティビジネス関係者
のみとなっています。
おわりに
太平洋戦争時、日本軍がマレー半島や
フィリピン戦線において現地の自転車を
徴発して使用した「銀輪部隊」があり、
自動車が未発達のころは軍隊が自転車を
利用する事はかなりありました。
スイス軍はその地形から自転車部隊を
戦後も維持し続け、2003年に廃止される
まで大規模な部隊を編成していました。
E-BIKEの技術革新は、自転車部隊復活の
きっかけになるのではないでしょうか。