示談とは加害者(賠償義務者)と被害者
(事故当事者)との間の話し合いにより、
損害賠償金の支払いについて合意をする
事を言います。示談の流れとしては以下の
通りです。
- 加害者が被害者に対して一定の損害賠償金を支払う事を約束
- 被害者は提示された金額以外の損害賠償請求を行わない事を約束して金銭を受け取る
法律上、口頭でも示談は成立しますが、
後日「言った言わない」というトラブルを
回避するため示談書を作成し加害者と被害者
双方が署名押印する事が一般的です。
示談書の作成方法
示談書の形式は自由ですが作成に際しては
次の点に注意する必要があります。
- 当事者名、事故発生日時・場所、加害車両の登録番号、事故の状況、示談内容・支払方法、作成年月日、署名・捺印欄
- 「今後、この件についてはいっさい請求しない。」という意味の権利放棄条項を盛り込む。
- 示談後の後遺障害について心配がある場合は、「今後、本件による後遺障害が生じたときは改めて協議する。」という権利留保条項を示談書の中に盛り込んでおきます。
示談は「和解」あるいは「合意」が大前提
です。双方いずれかが示談内容に不満がある
場合は示談は成立しません。また、示談を
強制する事もできません。これは加害者に
支払う意思や能力がない場合も同様です。
示談の時期は被害者のケガの症状が固定された後が一般的
示談は損害賠償請求を完結させるために
あるので、事故で被害者が負ったケガが
完治、もしくはこれ以上治療をしても症状が
改善しないと医師が判断した後(症状固定)
に行うのが一般的です。
治療途中でも加害者、被害者双方が示談に
合意すれば示談は成立します。ただし、
示談終了後に想像以上に治療が長引いた、
予想外の後遺障害が残ってしまっても、
その症状や治療費に対する金銭の補償は
できません。もし、示談後に事故に起因する
後遺障害が残る可能性がある場合は示談書に
権利留保条項を設定しておきましょう。
※示談書の作成を参照
ただし治療費やケガにより休業しなければ
ならない場合には賠償金の仮払い、という
形で示談成立前でも対応が可能です。
示談の方法
自動車事故の場合は、保険会社が示談の
代行を行う特約が付いている事が殆ど
ですが、自転車の場合は加害者側が
自転車保険、もしくは個人賠償責任保険
に加入していないと示談代行サービスを
利用できないので、当事者間での交渉
を行わざるを得なくなります。
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【ロードバイク】自転車保険には弁護士特約を付けよう【au損保】
自転車保険の義務化が各都道府県でも 進んでいます。 この自転車保険義務化の流れは、乗っている 側が加害者になった場合を想定しています。 逆に乗っている側が被害者になった時は 同じように対応してくれるの ...
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以前のブログでも解説していますが、
示談代行サービスは、契約した保険会社が
賠償金を支払う事で事故の当事者となる事
で利用が可能になるので、被害者側が保険
に入っていて示談代行サービスが付帯されて
いても利用ができないのです。
個人賠償責任特約とは、自動車保険などに
付帯できる特約の一つで、自動車事故を除く
日常生活における偶発的な事故で、自動車
保険の主な運転者とその家族が、他人を
死傷させたり他人の財物に損害を与えたり
したときに、法律上の損害賠償責任の額が
補償されます。ただし、示談代行サービスが
付帯されていない場合もあります。
支払いに不安がある場合は公正証書の作成がおすすめ
当事者間の話し合いで示談内容が決定した
あとの支払いに不安がある場合は、公証人
役場で公正証書(執行受諾文言付)を作成
すれば万が一支払いが滞った場合に、加害者
本人の財産に強制執行をかけることが可能に
なります。また、加害者の関係者(未成年で
あればその両親や家族)に連帯保証を求める
事も有効です。ただし、連帯保証を強制する
事はできません。
公証人役場の場所の検索は公証役場一覧
リンクから→こちら
示談交渉がうまくいかない時はADRセンターの利用を検討する
自転車事故の場合、自転車専用の紛争解決
手続きである機関が利用できます。
自転車ADRセンターがそれにあたります。
自転車ADRセンターでは以下の内容の
対応が可能です。
- 自転車と歩行者の事故
- 自転車同士の事故
- 自転車による器物損壊
ADRとは裁判によらず、公正な第三者が
関与してその解決を図る手続きの事です。
自転車ADRセンターでは弁護士を含む
3名の調停委員で構成される調停委員会が
調停手続きを進行、和解案を当事者に提示
します。
費用は申し立て手数料に5,000円(税別)
和解が成立した場合の被害者が受ける
事ができる経済的利益の額により
増減します。
おわりに
自転車事故の場合、加害者が保険に
加入しているかで、示談交渉の手間が
大きく変わってきます。被害者にして
みれば理不尽な事でしょうが法律で
決まっているのでどうしようもない
のが現実です。しかし、そのような
状況でも利用できる制度がADRセンター
です。
また、いつ自分が加害者になるかは
神のみぞ知る、です。そうならない事が
大前提ですが、しっかり保険に加入して
備える事も忘れない様にしましょう!