シマノがペダル内蔵型のパワーメーターの
特許を出願している、というニュースが
海外サイトで紹介されています。
https://twitter.com/bikeradar/status/1327261411056160768
特許出願資料に記載されている図は
シマノのSPD-SLペダルと2世代前の
クランク(アームが5本なので、FC-7900
かと思われる)なので、この出願された
特許は、他のメーカーが同じような構造
のパワーメーターを開発できない様にする
意図があったものと思われます。この特許は
2014年に出願され、2018年に登録されて
いるとの事です。
今回は既存の特許に新しい技術を追加で投入する特許を出願
ペダル型のパワーメーターを販売して
現在もバージョンアップしているのは
ガーミンのVectorです。第二世代型までは
ペダルの根元に送受信器のようなパーツ
がついていましたが、第三世代モデルから
そのパーツが無くなり、スッキリした外観に
なっています。
シマノが出願していた特許との相違点は
以下の通り。
- ペダル軸から飛び出た配線コード(Di2のジャンクションに似ている)
- クランクアーム内部(裏?)にセンサー
今回、追加で出願した特許は
- 圧電センサーをひずみゲージまたは信号プロセッサの電源としてペダル内で使用する方法
圧電センサーとは一体何でしょうか?
圧電効果で将来はペダリングでパワーメーターを充電できる!?
シマノが出願した圧電センサーとは
「圧電効果を利用した充電システム」の
アイデアです。
圧電効果について、Wikipediaを参照すると
圧電効果とは物質(特に水晶や特定のセラミックス)に圧力(力)を加えると、圧力に比例した分極(表面電荷)が現れる現象
となっています。
ちなみにタイヤメーカーのグッドイヤー
は、圧電効果で走りながら充電できる
タイヤのコンセプトを発表しています。
シマノが提出した出願内容の図を見ると
ペダル下部全体に圧電効果を発生させる
物質を組み込むようなものがあります。
おそらく実用段階ではなく、あくまでも
アイデアを出願しておいて他のメーカーが
独占するのを抑える目的があると思われ
ます。
パワーメーターでは後発のシマノ
シマノはパーツ屋さんなので鉄とか
アルミには強いですが、電子機器系
には乗り遅れた感があります。
ただ本気出すと、どんどん改善点を
洗いだしてよりよい製品を作り出す
メーカーです。(そのかわり、古い
型式との互換性を完全に捨てる癖が
あります。)
シマノのクランク型パワーメーターは
温度差でパワー値が変化するなどの、
精度に問題を抱えていました。
また、クランク型のパワーメーターは
クランク長を手軽に交換できない致命的な
弱点があります。また、クランクアームに
接着されているセンサーがフレームに接触
するメーカーの自転車には使えません。
ペダル型のパワーメーターなら、クランク
やフレーム形状を選ばず問題なく使用
できます。
パワートレーニングが一般化したため、ペダル型パワーメーターが脚光を浴び始める
何故シマノがペダル型パワーメーターに
注力しているか、これには以下の理由が
考えられます。
- 技術や素材が進化して小型で高性能に作ることができる目途がたった
- パワートレーニングが一般化して、プロ以外でもパワーメーターの需要が増えた
今まではパワーメーターはプロが使う
専用機器として考えられ、一般的では
ありませんでした。
パワー・トレーニング・バイブル (日本語)
しかし「パワートレーニングバイブル」
などの書籍でパワートレーニングが
一般のサイクリストにも分かりやすく
紹介された事、Zwiftのようなバーチャル
ライドアプリでパワーメーターがあれば
より正確なパワーが反映できる事から、
パワーメーターの需要は増え、これから
も増え続けるでしょう。
その時に機材を総とっかえせず、最低限
の交換で済めば、より多くの需要を生み出す
事ができます。
ペダル型パワーメーターなら、ペダルを交換
するだけでパワートレーニングができるように
なります。自宅で簡単にできるのもメリット
です。
おわりに
来年はシマノの100周年であり、デュラエース
のフルモデルチェンジが予想されています。
もしかしたらその時にパワーメーターの
発表があるかもしれません。ちなみにシマノ
からはパワーメーターの件について明確な
返答はなかったとの事でした。