歴史が深い団体は、伝統や古い慣習を
重んじ、新しい取り組みや技術革新に
ついて懐疑的な反応をすることが往々に
してあります。今回、ロードレースや
タイムトライアルで使用するゼッケンの
固定方法について口を出してきました。
ゼッケンを透明なポケットに入れてジャージに貼り付けて固定する製品の使用をしないように各チームに通達
UCIが6月24日にTour de Franceと
Tour de France Femmes avec Zwiftに
参加するすべてのチームに送付した
書面において「ピンを使用しない
ゼッケンの固定方法は認めない」との
意向を示しました。書面の内容に
ついてはおおむね以下の通りとなって
います。
ピンを使用しないゼッケン固定製品の使用について
3月のUCIからの連絡の通り、複数のサイクリング関係者(UCIコミッセール、レース主催者、サイクリングメディアおよびファン)が、ジャージに貼りつけた透明のポケット(nopinz製もしくはその類似品)に入れられたゼッケン番号の視認性の低さについて懸念を表明しています。これらの製品は見栄えも良く、空気力学においても革新的ですが、上記のように視認性についての懸念がある事も考慮した結果、UCIは2022年ツール・ド・フランスでは、上記の製品を使用してゼッケンを取り付けてはならない事とします。すべての関係者のために、ゼッケン番号が見やすく、読みやすいことが重要な原則であり、従来通りゼッケン番号はジャージの外側に固定する事とします。(特例として第一ステージのコペンハーゲンにおける個人タイムトライアルは除く)
やり玉に挙げられたのは、NoPinzが
販売しているSpeedpocketsという
製品です。
(nopinz公式HPから転載)
サイズは200mm×200mmと
160mm×180mmのシングルポケットと
160mm×180mmのポケットが2つ並んだ
ダブルポケット、があります。
いったん貼り付けると洗濯しても
剥がれずに再利用ができるとの事。
ゼッケンを固定するたびにピンで
ジャージに穴をあける事もなく、
ただ入れるだけなので選手や関係者に
とってはかなりの労力軽減です。
また、ピッタリ固定されているので、
風でバタついたり、ピンで固定されて
いない部分が風をはらんで膨らむ事も
なく、空気抵抗も軽減されるとの事。
ただし、透明なフィルムが日光の照り
返しで光って見にくい、ポケットの
中でゼッケンが動いてグシャグシャに
なってしまう、というのがUCIの意見
です。
不意に剥がれた時の影響を考えた?過剰な抵抗軽減への警鐘?
見えにくさにより使用してはダメとの
事ですが、実際に動画を見てもそこまで
見にくくない、というのが正直な感想。
想像ですが、万が一剥がれた時に後方の
選手への影響(飛んできたゼッケンが
選手や自転車に貼りつくなど)や
過剰な空気抵抗軽減での危険性の増大も
考慮したのでは、と考えます。
おわりに
1秒にしのぎを削るプロロードレースの
世界ならではの規制と言えます。