(2017 全日本in階上町)
いわゆる「Super Tuck」ポジションを
禁止したUCIは、さらなる禁止事項を
設けることになりました。それは、
ドロップハンドルのバーに前腕を乗せて
疑似的にTTバイクに乗るようなエアロ
ポジションをとる事です。
通常のロードバイクでエアロポジションは原則禁止に
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【ロードバイク】フルームが魅せたあのポジションが禁止に!?【SuperTuck】
2021年、ロードレースを所管するUCIが 走行中の空気抵抗を減らすポジションを 禁止することになりそうです。 その名は「Super Tuck」 単純にお尻をサドルから外し、トップ チューブにまたがる ...
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新たに発効するUCIルールの第1.3.008条で
「レース中の選手のポジションは、足はペダルにのせ、サドルに座った姿勢、ハンドルバーを手で掴んだ形を基本とする。」
という内容が追加されました。このため、
以前の記事にあるトップチューブに座る
「Super Tuck」ポジションは取れなくなり
上の畑中選手のようにハンドルバーに前腕を
のせて手はフリーの状態で姿勢を低くする
TTバイクのようなポジションも禁止の対象に
なりました。
要するに手で掴む位置がない場所に手を
置いてはいけない、サドル以外の場所に
座ってはいけないという事です。
TTバイクの場合はエアロポジションでも
ハンドルを手で掴み前腕で体を支えられる
様なハンドルの形状なので、今回の改定の
対象外となっています。
選手たちの反応は否定的
今回の改定について、選手たちの反応は
イマイチです。Deceuninck-QuickStepの
イルヨ・カイセは「下りの方法まで口を
挟んで欲しくない」とコメントしています。
エアロポジションでの落車はほとんどないのに何故?
ロードレースでの落車の原因は、下りで
ギリギリまで減速せずにコースをオーバー
したり、集団走行中のミスなどが殆どです。
今回禁止になったエアロポジションをとる
のは、逃げを狙って単独で飛び出した選手や
ラストの逃げ切りで飛び出す選手、集団の
先頭を取る選手が殆どで、比較的落車の
リスクが少ないはずです。
ここからは想像ですが、コロナウイルスに
よる医療現場の混乱や、一般チャリダーが
真似して落車するケースを考えての事だと
考えます。
グランツールが行われるヨーロッパはコロナ
ウイルスによる感染者を抑え込むことが
できておらず、医療現場も混乱を極めて
います。そんななか、落車でケガを負った
場合に適切な治療を受けられるか、または
受診した先で選手や関係者がコロナウイルス
に感染する事を恐れていると思われます。
また、選手が何気なく行っているポジション
を一般のチャリダーが真似した結果、落車
して大けが、最悪死亡した時に当事者や
その遺族が「UCIは危険なポジションを規制
する努力を怠った」と批判される事を恐れた
という可能性もあります。
選手と観戦者とのふれあい行為も禁止に
ロードレースでは沿道の観客に向かって、
使用したボトルや補給食を投げて、それを
観客が拾って記念にする、といった行為が
ずっと続いていました。飲み干したボトルも
集団の外に投げて次のボトルを補給して
いましたが、今回、その行為も規制の対象に
なっています。
2.2.025 選手は、十分な注意を払わずにボトルや補給食が入ったサコッシュ、補給食やウインドブレーカーなどの衣類を道路に投棄してはいけない。主催者が設置したゾーンに投棄しなければならない。ゾーンがない場合は、チームカーや組織車両、補給を担当するスタッフに渡さなければならない。
主催者はゴミ投棄ゾーンを
「イベントまたはステージのルート
全体で30〜40 kmごと」に配置し、
ゴール近くにも配置する事になりました。
これに違反した場合は、総合タイム加算の
ペナルティが課せられ、複数回違反した
場合は失格になる厳しい処置となります。
この背景には捨てられたボトルをタイヤで
踏んで落車、リタイヤした選手が多かった
事が背景にあるようですが、感染予防対策
や、環境保全と言った事も関係があるよう
です。
おわりに
急にいままでOKだった事を禁止されると
選手や主催者側も混乱すると思うのですが
UCIも何か考えがあっての事なのでしょう。
たしかにプロが行っているポジションを
安易に真似するのは危険なので仕方が
ないと思います。