自転車保険の義務化が各都道府県でも
進んでいます。
この自転車保険義務化の流れは、乗っている
側が加害者になった場合を想定しています。
逆に乗っている側が被害者になった時は
同じように対応してくれるのか?
被害者側が過失ゼロだと保険会社は示談交渉代行できない
結論から言うと、自転車側の過失が
ゼロの場合、保険に入っていても
保険会社は加害者側との示談交渉
代行はできません。
法律で決まっています。
e-Govで弁護士法第72条を検索すると
以下のようにあります(以下引用)
弁護士法第72条
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を
得る目的で訴訟事件、非訟事件及び
審査請求、異議申立て、再審査請求等
行政庁に対する不服申立事件その他一般の
法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは
和解その他の法律事務を取り扱い、
又はこれらの周旋をすることを
業とすることができない。
ただし、この法律又は他の法律に別段の
定めがある場合は、この限りでない。
この法律に違反する行為を「非弁行為」と
いいます。法律の解釈では保険会社が
掲げる「示談交渉代行」は非弁行為に
該当することになります。
ただし9:1など被害者側にも賠償責任が
ある場合は、契約している保険会社も
当事者扱いとなり、賠償金を支払う
義務がある事から示談交渉代行が
可能になるのです。
交差点での事故はほぼ過失割合ゼロにならない
過失割合ゼロになるのは相手方が
交通法規違反の場合(例:信号無視、
センターラインオーバー)や、
自分が完全に止まっていて
突っ込まれた時です。交差点での事故は
ほぼ過失割合ゼロにはなりません。
保険会社もいちいち全ての状況の
過失割合を把握していないので、
「別冊判例タイムズ38号
民事交通訴訟における過失相殺率の
認定基準」の内容を根拠にします。
通称「緑の本」。過去の交通事故に
おける過失割合の判例が載っています。
保険会社も商売だから支出(賠償金)は
極力抑えたい。だから専門用語を
使いまくって、過去の判例で
妥協させようとします。こちらも
ロードバイクが普通の自転車では
ない事を分かってもらえるように
努力しないといつまでも平行線で
無駄な時間を過ごしてしまいます。
自転車保険に弁護士特約を付けるメリット
自転車保険に弁護士特約を付けるメリットは
- 過失割合に関係なく利用できる
- 裁判所基準で損害賠償額が増額になる可能性がある
- 相手の保険会社にナメられない
過失割合に関係なく示談交渉の専門家に
依頼できる安心感があります。
裁判所基準とは、日弁連が出版している
損害賠償額算定基準の手引き(通称赤本)
をもとに賠償額を算定する事です。
特に入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、
死亡慰謝料の算定額が高く設定されて
います。
このほかに保険会社が独自に算定する基準
(任意保険基準)と自賠責保険での支払い
基準を示した自賠責基準があり、
裁判所基準が算定基準が一番高く、次に
任意保険基準、自賠責基準は最低限度の
算定率となっています。算定基準が高い
ため、法律の専門家である弁護士で
なければ保険会社は相手にしません。
保険に弁護士特約を付ける最大の目的
といっても過言ではないでしょう。
フレームやホイールの事は弁護士も素人。こちらから価値を調べる必要がある
交通事故専門の弁護士の先生はいても
「割れたフレーム、世界100台限定の
S-Works Vengeサガンモデルですね!」
なんて分かる弁護士先生は多分いない。
もし事故でフレームやホイールが破損
した場合、その素材や年式、希少価値や
使用頻度は自分で申告するしかありません。
自分が事故にあった時は自転車保険自体
かけておらず、示談交渉はすべて1人で
行いました。保険会社はママチャリと
カーボンロードバイクの違いを理解
できず、ママチャリと同じような
過失割合と賠償額を提示してきたので、
雑誌などの根拠をあげて賠償額を満額
まで引き上げました。
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ただ「先生」と呼称される職業の人は
ゴチャゴチャダラダラ言われるのを
嫌います。資料をしっかり準備して、
結論をしっかり伝えましょう。
弁護士特約のついた自転車保険はau損保
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自転車保険の話
交通弱者といわれたのは今は昔。自転車での事故でも加害者になりかねません。自転車保険で安心したロードバイクライフを! 自転車は法律上は車と同義 道路交通法 第2条 十一 軽車両 次に掲げるものであつて、 ...
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調べたところ、au損保が弁護士特約を
つけることができる保険の様です。
ただし、毎月の保険料はノーマルより
月払いで1500円、一括払いで16000円
ほど高くなります。
ただ示談交渉は精神的にもつらいので、
特約はつけるべきです。特に子供がいる
お父さんは家族に対象になる家族タイプ
をお勧めします。