2021年、ロードレースを所管するUCIが
走行中の空気抵抗を減らすポジションを
禁止することになりそうです。
その名は「Super Tuck」
単純にお尻をサドルから外し、トップ
チューブにまたがるような格好で
下ハンドルをつかみ、胸をハンドルに
押し付けるようなポジションです。
走行中の空気抵抗を一番受ける上半身の
面積を劇的に小さくできるので、
スピードを落とさずに走る事ができます。
(ちなみにZwiftでは下りで何もしないと
自動的にこのポジションをとります)
2016年のツールドフランス最初の山岳
ステージで、前年総合優勝者のクリス
フルームが下りでこのポジションを取り
ステージ優勝、マイヨジョーヌを獲得して
います。フルームはその後の第12ステージ
で興奮した観客を避けきれないと判断して
急停止したカメラバイクに激突し落車。
フルームは後続のバイクに自転車を踏まれて
壊されてしまいます。少しでも距離を稼ごう
と自転車を捨てて走り出す前代未聞の行動に
でますが、最終的に総合優勝しており、
余計にフルームのポジションが印象に残った
形です。
UCIはSuper Tuckを「百害あって一利なし」と判断
UCIはこのポジションが本人やその周りの
選手に重大な危険があると判断。昨年の
UCIで行われた会議で様々な危険行為と
一緒に議論が交わされ、最終的にUCIの
安全規則の変更に繋がりました。
(ボトルを道路に投げ捨てる行為も禁止の
対象になっています。ジロ・デ・イタリア
でゲラント・トーマスがボトルを踏んで落車、
リタイアした事による)
実際に「Super Tuck」は速いのか?GCNが検証。
YouTubeで「GCN」が本当にこのポジション
が速いかどうか検証を行っています。
- サドルに座り、態勢を低くした普通のエアロポジション
- Super Tuckポジションでペダリング
- Super Tuckポジションでペダリングせず
(YouTubeより)
結果はSuper Tuckポジションより
通常のエアロポジションの方が
速いというものでした。
体を張るプロだからこそ速い。素人が手を出すと危険
動画の7秒くらいに後ろからチャリダーが
現れ、Super Tuckポジションを取り、
ペダリングした瞬間、バランスを崩して
自転車が左右に振られ、大落車します。
自転車は吹っ飛び、道路に叩きつけられた
チャリダーから数メートル側をトラックが
タイヤから白煙を上げて急停止する衝撃
映像です。
プロが体を張ってやることに素人が手を
出すとどうなるか教訓と言えるでしょう。
おわりに
プロがやっている事は簡単に見えますが、
実際は途轍もなく難しかったり、基礎が
しっかりしていないとできない、という
事が分かります。安易に真似せず、安全
運転で楽しみましょう!